肉盛溶接

Overlay Welding

溶接は通常、部材同士を接合する技術ですが、肉盛溶接はこの技術を表面処理に応用した方法です。
主な目的は表面改質や形状復元で、部品の表面に適切な金属を肉盛することで、全体を高価な金属で製作するよりもコストを抑えつつ性能を向上させることができます。
また、腐食や摩耗で損傷した部品を肉盛溶接で修復することで、繰り返し使用が可能になります。
肉盛溶接は、溶射やめっきに比べて厚い層を形成でき、母材と肉盛層が冶金的に結合するため、より高い耐久性を発揮します。また、この技術は省資源性に優れ、不要な廃棄物を減らし、環境への負荷を最小限に抑える点でも大きなメリットがあります。

一般的な溶接
Thermal Spraying Thermal Spraying
肉盛溶接
Thermal Spraying Thermal Spraying

肉盛溶接施工手順

01
事前協議
肉盛溶接をご検討されている部材に対して、要求性能、熱や歪による影響及び形状などの仕様を事前協議します。
02
施工内容検討
ご要望にお応えできる肉盛材料の選定と、適切な肉盛溶接施工要領を検討し、施工内容を提案します。
03
受け入れ検査
肉盛溶接を行う品物をお預かりし、品物の損傷状況や寸法など製品状態の検査を行います。(新規製作の場合は行いません。)
04
開先加工
形成される肉盛層の厚みを差し引いた寸法まで、機械加工を行います。
また、加工によって内部欠陥が露出していないか確認し、溶接可能な表面であることを検査します。
05
予熱
肉盛溶接を行う品物の材質や溶接材料に応じた適切な溶接温度とする為に加熱します。
予熱を行うことで、肉盛層の割れを防止したり溶接熱影響による母材硬化を防止します。
06
肉盛溶接
事前に選定した溶接材料の肉盛溶接を行います。
なお、母材(品物)と肉盛層の過度の性能傾斜が問題になる場合は、中間的性質の肉盛溶接(下盛)を行う場合もあります。
07
溶接後熱処理
溶接による残留応力の緩和や溶接熱影響部の軟化、肉盛層のじん性回復及び遅れ割れの原因となる拡散性水素の除去などを目的に溶接後熱処理(PWHT)を行います。
08
仕上げ加工
余剰の肉盛層部分を機械加工により切削成形し、製作図面形状へと復元加工します。
09
最終検査
硬度、寸法、溶接欠陥の無いことなど、合格基準を満たしていることを検査します。
10
出荷