大阪富士工業では、2013年4月に大阪大学 接合科学研究所に共同研究部門を設立。
近年の地球資源・環境問題の高まりとともに、カーボンニュートラル・脱炭素社会への動きが加速しており、自動車、鉄道などの輸送機器、ロケットなどの宇宙構造体、微細エレクトロニクス電子機器など多くの産業分野で、工業製品の小型・軽量化、省エネ・省資源化の要求が激しさを増し、それらの材料に対して付加価値の高い機能を効率的に付与できる先進機能性加工が求められています。
本共同研究部門は、接合科学研究所が有するレーザー加工や材料科学などの先進加工技術と当社が有する製造技術を融合し、微細から長大までの広範な構造物に様々な先進機能を付加する「先進機能性加工」技術を開発することを目的としています。
具体的には、半導体レーザー、ディスクレーザー、ファイバーレーザーなどを用いたレーザークラッディング法による機能性材料の効率的表面処理法の開発及び、純銅などの難溶接材の接合など新しいレーザー加工技術の開拓を行い、最終的には開発した技術を応用した次世代機能性加工技術の実用化を目指しています。
大阪大学
接合科学研究所
大阪富士工業
「先進機能性加工」
共同研究部門
試験装置及び開発技術
- ビームプロファイル制御技術によるレーザークラッディング技術の開発
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大型部品のレーザークラッディングにおいてはさらなる高速化が必要とされています。DOE(回折光学素子)を用いたビーム成形により従来の円形ビームから様々なビームプロファイルを作成し、その効果を検証するため高出力ファイバーレーザーを用いた大面積高速レーザークラッディング法の開発研究を行っています。
これまでにレーザーによる伝熱効果を加味したサイド強調ビームを作成。その効果を確認し、更なる大面積高速クラッディングを可能にするために、円筒形状製品へのレーザークラッディング施工技術の開発を行ってきました。このレーザークラッディングシステムを使用することで、大面積のボイラーパネルに対して高効率なレーザークラッディング施工が可能です。
- 汎用DED(指向性エネルギー堆積法)技術開発
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本研究では、6,000W級高出力レーザーを用いて、産業用部品への適用や銅、アルミなどの難溶接材料に対して、高品質な機能性表面を形成するレーザークラッディング技術の開発を行っています。
従来の加工法では困難であった深層部への熱影響を抑えつつ、高速度で高品質な表面改質を実現することで、耐摩耗性、耐食性、耐熱性を大幅に向上させ、ボイラ管や産業用部品など過酷な環境下で利用される製品の寿命延長に貢献します。大阪大学との共同研究を通じて、レーザー照射条件と材料特性の関係を深く解明し、最適な加工プロセスを確立しました。また、大阪大学と関連する企業との連携により、最先端のレーザー技術を取り入れ、日本トップレベルの技術開発を目指しています。

古河電気工業製 DOEレーザークラッディングシステム
